近年大型物流倉庫における火災が相次いで発生し、消火活動が難航して鎮火まで長時間を要するケースが増えています。令和3年の火災件数は35,007件(消防庁資料)発生しており、前年より増加しています。また、農産物の盗難も多く発生しており、令和3年の盗難件数は37,240件(警視庁犯罪統計資料)発生しています。このため、防火・防犯管理の強化・徹底を目的として、JAグループが一体となって全国一斉に運動を展開いたします。
定期的に農業倉庫周りの整理や清掃などを徹底して、放火防止の観点からも倉庫周辺に燃えやすいものを放置しないこと、倉庫の前室には灯油などの危険物を置かず、火災警報設備や消火設備は定期的に点検して万が一の時に使用できるようにしておくことが重要です。
カントリーエレベーターやライスセンターのように直接火を扱うことがない農業倉庫においても、破損した機械のベアリングの摩擦熱による発火や老朽化による漏電や改修工事の火花などにより火災になった事例もあるので、注意が必要です。
また、保管米麦の盗難事故防止のためには、防犯責任者を任命して防犯体制を明確にするとともに、不在時は各倉庫や敷地入口の施錠を必ず行い、防犯灯を設置して、適時見回り等を実施願います。保管台帳と現物在庫が一致していることを毎月確認することも重要です。
冬期を迎えるこの時期は、特に農業倉庫周辺に仮置きした木製パレットやその他の可燃物があると放火の危険が増大するおそれがあります。なお、直接火を扱うカントリーエレベーター、ライスセンター施設の火災事故は、残念ながらほぼ毎年どこかで発生しています。そのほとんどが乾燥機や関連設備の点検整備と清掃が不十分だったことが原因になっているのでこの期間にあわせてご確認をお願い申し上げます。
さらに、農業倉庫の南京錠や通用口、シャッターの鍵などの破壊によって米穀を盗難されるケースやカントリーエレベーター・ライスセンターの灯油タンクから灯油を抜き取られるケースも見られます。
生産者から委託された大切な米麦の保管管理に万全を期すため、農業倉庫関係者の皆様におかれましては、関係機関と連携し、研修会や会議、施設の巡回指導、設備の点検整備等を通じて防災・防犯意識高揚を図り、火災・盗難の予防体制を確立するとともに、緊急時の連絡体制の確認等を行ってください。
火災盗難事故の発生件数ゼロを目指し、取り組みを進めていただきますようお願い申し上げます。
米麦はお客様が口にする大事な食品で、これを取り扱っているカントリーエレベーターやライスセンターは食品工場であり、米麦を被害から守るためにもネズミ対策もしっかり講じておく必要があります。前歯をすり減らす習性のあるネズミは、工場内の硬いものを噛み続け、大事な製品や機械などを壊す原因にもなり得る存在です。
またネズミがそこら中に糞尿を撒き散らせば、その工場内の衛生環境にも大きな問題が生じるため、お客様の口に入る食べ物を扱う施設では特に注意をする必要があるのです。
警戒心が非常に強く夜間に活動することの多いネズミは、倉庫の中でなかなか見つけにくい存在です。
しかしネズミが何度も通っている道には、油や汚れによって床が黒光りするラットサインが生じます。またネズミには尿をしながら動き回る習性もありますので、床面に明らかにおかしな汚れや足跡があった場合は、それをラットサインと捉えて早めの対策を講じる必要があると言えます。
倉庫の中でネズミが入ってくる大きな理由は、その環境に大好物のエサがあるからです。
細かくちぎった段ボールや雑巾、衣類、ティッシュペーパーなどは、ネズミの住処になりやすい存在です。またネズミが生息する倉庫内には、壁や通気口といったネズミが移動しやすい通路がありますので、ラットサインを見つけた場合は施設内の細かな部分についても再確認をした方が良いと言えます。
結露は空気中に含まれる水蒸気(水が気体の状態で存在している)の一部が冷えて凝縮し(気体が液体に変化する)、目に見える”水滴”の形で現れる現象のことです。日常生活では冬場の温かい室内や浴室内の窓ガラス表面でよく見られますが、この現象は、CEの貯蔵サイロ(特にタワーサイロ)内の上部空間部でも起こることがあります。
もし発生した場合、そのまま放置すると結露現象が進んで水滴が穀物表層面に落下して穀物を濡らし、品質事故を招くことがあります。外気温度が低い冬場は特に結露に注意しなければなりません。