CE情報No.2

適期の収穫で安全・良質麦生産に一丸となって‼
赤かび病の適期防除を行い発生防止を

 早めに出穂期、開花期を確認し、実肥施用や赤かび防除が適期に行えるようにご注意願います。

【気象経過】

彦根気象台、平成25~令和4年の平均値との比較出典:滋賀県農業技術振興センター 麦生育情報No.5

期間 平均気温 日照時間 降水量
2月 上旬 やや高い 平年並 平年並
中旬 やや高い やや少ない やや少ない
下旬 やや低い やや多い 平年並
3月 上旬 かなり高い かなり多い 少ない
中旬 かなり高い 平年並 平年並
下旬 かなり高い 平年並 平年並
(注)

平均気温 <±0.5℃:平年並、±0.5~1.0℃:やや高い(低い)、±1.0~2.℃:高い(低い)、±2.0℃<:かなり高い(低い)

日照時間 <±5hr:平年並、±5~10hr:やや多い(少ない)、±10~15hr:多い(少ない)、±15hr<:かなり多い(少ない)

降水量 <±10mm:平年並、±10~20mm:やや多い(少ない)、±20~30mm:多い(少ない)、±30mm<:かなり多い(少ない)

【麦の生育状況】

「農林61号」は平年に比べ、茎数は少なく、草丈は長く、葉数は0.6枚多い。

「ふくさやか」は平年に比べ、茎数はやや少なく、草丈は長く、葉数は0.1枚少ない。

「びわほなみ」は平年に比べ、茎数は少ないが「農林61号」と同程度である。また、草丈は平年並で、葉数は0.1枚少ない。

「農林61号」は出穂期、「ふくさやか」および「びわほなみ」は穂ぞろい期を迎えており、生育は平年より8~9日早いと想定される。

【県内の状況】

 県内では麦類の生育は平年より8~9日早く、11月上旬に播種した小麦は出穂期~穂ぞろえ期を迎えています(4月6日現在)。生育が平年と比べて早く進んでいることから、実肥施用や赤かび病防除が適期に行なえるようにご注意ください。

1. 今後の管理

(1)排水対策 ○ 排水不良は、根の伸長が不十分となって登熟期にまで影響が及び、収量及び品質低下を引き起こすので溝に水がたまる場合は溝さらえを行うなど、引き続き徹底した排水対策に努める。

(2)小麦の実肥 ○ 小麦の実肥は開花期(出穂10日後頃)に窒素成分で3~4kg/10aを施用する。 ○ ただし、茎数の少ないほ場(約300本/㎡以下)では2~3㎏/10aに減らす。 ○ 3月下旬~4月上旬に葉色が淡く茎数が少ない場合は、収量を向上させるために出穂7日前(走り穂が出る直前頃)に窒素成分で2㎏/10a程度追肥し、さらに出穂10日後(開花期)に2~4㎏/10aの実肥を施用する。

(3)赤かび病防除 ○ 小麦(びわほなみ)及び六条大麦は開花始め~開花期とその7~10日後頃に農薬を散布する。薬剤散布後、降雨が続く場合は、直前の散布の7~10日後頃に追加防除を行う。 ○ 小麦(びわほなみを除く)は開花始め~開花期に行う。 ○ 二条大麦は穂揃い10日後頃に農薬を散布する。農薬散布後に降雨が続く場合、雨のやみ間を見て追加防除を行う。

(実肥施用、赤かび病防除における留意点)

○ 小麦の出穂期や開花期は気温によって変動するため、出穂期、開花期の確認を早めに行い、実肥や防除が適期に行えるようにする。

○ 出穂が始まってから低温になると開花が遅れるので、赤かび病防除は開花を確認してから実施する。

2. 赤かび病防除の徹底について

 赤かび病菌は人や家畜に有毒なかび毒である、デオキシニバレノール(DON)などを生産します。そのため、日本では、小麦に含まれる DONの基準値が 1.0ppmと定められており(2022 年 4 月施行)、基準値を超えた小麦は食品衛生法上、流通することができません。また、農産物検査規格においても、赤かび粒の混入は 0.0%以下(1万粒検査した場合 4 粒以下)と定められており、これを超えると規格外となってしまいます。
 共同乾燥調製施設等においては、荷受け段階において目視によるチェックを行い、赤かび病被害粒が多く見られた場合は必要に応じて仕分けを徹底しましょう。また、赤かび病被害粒が混入しないよう、粒厚選別、比重選別等により調製を行い、DON含有濃度の低減(1.0ppm未満)を図ることが重要です。
 粒厚とDON含有濃度の関係は、必ず一致する訳ではありませんが、粒厚が薄いほどDON含有濃度が高い傾向にあることが確認されています。

3. 各施設の各種機械の整備について

 短期間の荷受け期間中に機械が故障し、荷受けが出来なくなりますと、搬入麦の滞貨により、発熱・醗酵の恐れがありますので、稼働前の各種機械の点検 ・ 整備は丁寧に行って下さい。前年度に不具合が発生した箇所は、必ず点検・整備を実施して下さい。

4. 農業倉庫保管管理強化月間がはじまります。

 今年度の取り組みを下記に紹介していますが、この時期だけ取り組めばよいということではなく、年間を通じて取り組む必要があります。特に、4月~6月は、冬から春への季節の変化に伴う外気温の上昇や、梅雨に入ってからの湿度の上昇により品質管理が難しくなること、さらに梅雨前線による大規模豪雨やゲリラ豪雨による水害が懸念されるため、徹底した品質保全と水害事故の防止が必要です。
 農業倉庫などの米麦等保管施設に対しても一層の衛生管理の取り組みを求められているので、この強化月間を機に「JAグループとして自主的衛生管理の取り組みについて」を確認して実行していく必要があります。

期間:4月15日~6月30日

取り組み事項:

① 保管管理体制の整備

② 自主的衛生管理の実行【重点取り組み項目】「5S 整理・整頓・清掃・清潔・習慣」と「保管管理日誌の記帳」など

【重点取り組み項目】 保管米麦の品質保全とカビ防止・防虫・防鼠

【重点取り組み項目】 保管米麦の水害事故の防止

⑤ 保管管理点検表による点検の実施ならびに自主管理マニュアルに基づく確認

⑥ 誤出庫・表示押印漏れ事故の防止および数量管理の徹底

⑦ 労働災害事故の防止