No.1 CEの管理者は、現場が春先の保管管理が徹底されているか気配りを‼

 春になると外気温が上昇し始め、その影響を受けて、特にサイロ内壁近くの20~30㎝程度の範囲や表層での穀温は大きく変化します。ところが、堆積中心部や下部の温度変化は少なく、このためサイロ内の壁近くで暖かくなった空気が上昇し、中心部で下降するという「サイロ内対流」が起こり、サイロ下段、ホッパー部の籾は水分吸湿傾向となり、更に外気温度が上昇し続けると、空気の対流が激しくなり一層顕著になってくることから、今後の保管管理には十分な注意と対策が必要です。
 令和2年産麦の県内現地生育情報は、県農技センターの情報によると、「農林61号」、「ふくさやか」ともに、茎数は平年より少なく、草丈は平年よりかなり長く、葉数は1枚以上多い。葉数からみた生育の進展は、平年より2週間程度早いと見込まれます。

1.サイロ内籾の穀温をチェック

 毎日定時(例えば10時)に穀温測定を行って、サイロ管理日誌に記録し、あわせて全点グラフ化して穀温上昇のないことを確認してください。穀温が安定している場合であっても、20℃以上あるいは20℃に近い部分があれば、即サイロ替えローテーションを実施し、15℃以下に低下させて下さい。
外気温が低下してきた時期には、穀温と外気温との差が10℃を超えていないかをチェックし、もし、超えているか、それに近い温度差であれば速やかにローテーションの実施をお願いします。

2.出庫前の結露確認について

 出庫前(籾摺り前)には、先ずサイロ内の結露確認を行って下さい。
 酸素欠乏危険作業主任者の指示にもとづき、サイロ内に結露が発生していないか確認を行い、もしも結露が発生していた場合は、品質劣化籾と正常籾との混合を避けるための措置を行って下さい。(排出作業はロープ、バケツ方式等で)

3.これからの籾管理と出庫について

 4月以降に出庫予定の籾の管理は、出庫予定の籾を一旦別容器(別のサイロやDSビン又はタンク)に移し替え、外気の温湿度に馴染ませ、少なくとも5時間以上放置した後に籾摺りを開始して下さい。
 外気温度とサイロ内籾の穀温との差が、3~4℃以内であれば結露の心配はないことになりますが、それ以上の差がある籾を出庫する場合は上記操作が必要です。

令和2年産(元年播)麦の生育情報
(県農技センター 「麦の生育情報№4」より)

①気温・降水量経過

○ 気温について、2月中旬から3月中旬まで高く推移し、特に2月中旬はかなり高かった。
日照時間は2月中・下旬はやや少なく、3月上旬は多く、中旬はかなり多かった。
降水量は2月中旬はかなり多く、3月上旬はやや多く、中旬はやや少なかった。

②生育情報

○ 県農技センター麦類作況調査では、3月中旬における11月5日播きの「農林61号」、「ふくさやか」ともに生育が早まっている。茎数は平年より少なく、草丈は平年よりかなり長く、葉数は1枚以上多い。

③県内の状況

○ 今作麦は、平年より生育がかなり前進しており、11月上旬播きの小麦や六条大麦では、すでに一部で止め葉が展開している。このため、草丈は平年より長く茎数は早い時期から減少し始めていることから平年より少なくなっている。

④排水対策

○ 排水不良は、根の伸長が不十分となって登熟期にまで影響が及び、収量及び品質低下を引き起こすので溝に水がたまっている場合は溝さらえを行うなど、引き続き徹底した排水対策を講ずる。

⑤小麦の実肥

○ 小麦の実肥は開花期(出穂10日後頃)に窒素成分で3~4kg/10aを施用する。

○ 3月中旬時点で生育は平年より2週間程度早く進んでおり、向こう1カ月の気温も平年より高くなる確率が80%と予想されることから、出穂期は平年よりさらに早くなることが予測される。

⑥赤カビ病防除

○ 小麦及び六条大麦では開花始め~開花期に、二条大麦では穂揃い10日後頃に農薬を散布する。

○ 散布後降雨が続く場合は、1週間後に追加防除を行う。