CE情報No.9

計画的な操業と適切な運営・管理で「品質事故防止を」‼
…貯蔵籾の穀温管理は細心の注意と各種帳簿類の記帳を確実に…

 カントリーエレベーターにおける米の品質事故は、過剰荷受け、高穀温・高水分のままの半乾貯蔵、穀温管理の形骸化および必要なローテーションを怠る等、基本ルールを守らなかったことにより発生します。
 CEの安全操業には乾燥能力に応じた計画的な荷受け、各作業工程における基本操作の遵守が欠かせません。そのため、施設運営をオペレーター等現場作業者に任せきりにするのではなく、経営者や施設管理者、利用組合等も含めた三者が一丸となって進めることが重要です。
 近年、食品である米麦を扱うCEの衛生管理に対する消費者、実需者等の要請は厳しさを増しています。その中で、農林水産省による衛生管理の指導が強化され(令和元年12月にJA滋賀中央会、JA全農滋賀県本部連名で衛生管理の徹底について依頼)、補助事業で米穀保管施設を新規に整備する際の要件、農産物検査の検査場として業務を行う際の要件として既存施設の環境が衛生的に保たれている事が必須となります。また、食品衛生法が改正され、CEでは自主的な衛生管理が求められる事となり、5S(整理・整頓・清掃・清潔・習慣)の徹底を一層図り、品質事故防止の取り組みがもとめられます。
 今後は貯蔵(保管)籾の適切な管理の段階に入り、サイロの内部は外から見えませんので穀温測定が唯一頼みの綱です。外気温度・サイロ内の上部空間の気温等を併せて把握し、品質保持について、下記事項に留意して、今後の施設稼働をお願いします。

1. 貯蔵籾の品質保持について

① 貯蔵穀温が20℃以上のときは、籾の品質劣化が早くなることから、出来るだけ早期に20℃以下になるようにして下さい。また、ローテーションの時には、サンプルの採取を行い異臭等、品質の確認を行って下さい。

② 外気温との温度差が大きいと結露が発生しますので、ローテーションを行って、穀温を外気温に近づけて下さい。

③ 穀温の上昇は品質事故の兆候が出ておりますので、ローテーションは秋から冬、冬から春、春から初夏の外気温変化に合わせて行って下さい。

※ ローテーションを行う場合は、必ず、別サイロに全量を移し替える。
(芯抜き防止)

図 サイロ排出時の芯抜け現象

2. 精選の実施について

 未精選籾は未熟粒が多く、微生物が繁殖しやすいため貯蔵性が劣りますので、仕上げ乾燥が終わった籾は、精選を行い健全籾の状態で貯蔵して下さい。
 同時に計量・サンプル抽出工程を精選作業と併せて行い、貯蔵籾の重量・品質を把握するようにお願いします。

3. 良品質米の出荷について

 水稲は出穂から20日ほどの間に高温や日照不足、水不足、栄養不足に遭うと、玄米の背部に白い筋が入る背白粒や基部が白く濁る基白粒(基部未熟粒)、米粒の内部が円状に白濁する乳白粒などが発生しやすくなります。その主な理由は、高温による障害で、でんぷんを十分に蓄積できず、隙間ができるためです。今年度、農業技術振興センターの水稲作況調査によりますと、「みずかがみ」の出穂期は7月23日(平年より1日遅い)、「コシヒカリ」が7月27日(平年と同日)でした。最高気温が7月下旬は「かなり高い」、8月上中旬も「高い」という「過去にない高温の連続」かつ最低温度(夜温)も高い状況で、現在実施しているCE巡回でも白未熟粒の発生が目立つとの声を聞いています。
 このことから各施設において丁寧な精選や適切な網目の使用により、未熟粒及び被害粒の混入を減らし、良品質米に仕上げるようご努力をお願いします。
 なお、色彩選別機が設置されている施設では、被害粒及び未熟粒等の除去に最大限の活用をお願いします。

以 上