CE情報No.8

共同乾燥調製施設の適正稼働及び保管管理について‼
…事前チェック体制の強化で「施設に持ち込ませない姿勢」が品質事故防止の第一歩です…

 本年の水稲作況調査(8月21日時点)では、「みずかがみ」の出穂期は7月23日(平年より1日遅い)、「コシヒカリ」は平年と同日の7月27日、「きらみずき」が8月5日でした。
 「みずかがみ」、「コシヒカリ」の成熟期は平年よりやや早い見込みです。出穂後30日過ぎたら収穫できるよう準備をし、収穫時期が近づいたら、ほ場に入って穂(籾)をしっかり確認し、黄化籾が85~90%になった頃に収穫を開始します。特に高温年は出穂のばらつきが大きくなる傾向があるので、収穫適期をしっかり見極めて刈り遅れのないよう注意しましょう。

【気象経過】

彦根気象台観測、平年は過去10年間の平均値との比較出典:滋賀県農業技術振興センター 水稲生育診断情報No.5

期間 最高気温 最低気温 日照時間 降水量
7月 下旬 かなり高い やや高い かなり多い かなり少ない
8月 上旬 高い やや高い 少ない 少ない
中旬 高い 高い 平年並み 多い
(注)

気温 <±0.5℃:平年並、±0.5~1.0℃:やや高い(低い)、±1.0~2.℃:高い(低い)、±2.0℃<:かなり高い(低い)

日照時間 <±5hr:平年並、±5~10hr:やや多い(少ない)、±10~15hr:多い(少ない)、±15hr<:かなり多い(少ない)

降水量 <±10mm:平年並、±10~20mm:やや多い(少ない)、±20~30mm:多い(少ない)、±30mm<:かなり多い(少ない)

1. 品質仕分けについて (必ず実施すること)

 施設へ搬入される場合、入口での品質チェックは品質向上の重要な任務です。一部の施設においては未だに籾のみだけでのチェックが行われていた施設がありました。籾だけでは着色粒、胴割米等の判定が難しいため玄米にして両方でのチェックを実施されるようお願いします。 

2. 乾燥作業について

① 貯留ビン(DS・DAG)の堆積高さ【目安は1.5㍍以下(約15㌧)】昨年度の荷受状況では、1日の荷受量が少なく、貯留ビンの堆積量は多くなっている施設はほとんど見受けられませんでしたが、可能な限り品質保持が確保される堆積量になるよう対応をお願いします。 ◇ 貯留ビンで高積みすると風通しが悪く、生もみの品質保持に必要な風量が得られなくなるので、DS・DAGでの高積みは避けるようにして下さい。 ◇ 高水分もみほど堆積高さを低くするようにして下さい。

② テンパリングについて(連続送り式乾燥機)テンパリング時間は、1回3~8時間の範囲です。乾燥作業等の都合で基準を守る事が難しい場合がありますが、基準の範囲以内で稼働をお願いします。 ◇ テンパリング時間は、短かすぎれば胴割米の発生、長すぎればヤケ米発生に繋がります。

③ 水分測定について(循環式乾燥機)
 青未熟粒が多く、水分にバラツキが大きいロットは、水分ムラが解消されにくいので仕上げ水分に近づいたら水分測定を頻繁にして、もみ水分状況を把握するようにして下さい。

④ 穀温の測定について
 乾燥途中及び本サイロに投入後はほとんどの施設で実施されておりますが、一部施設において貯留されている場合に、昨年は測定が出来ていないところがありました。外気温は9月に入っても昼間の気温が高い日もあり、出来る限り穀温測定を行い、もみの品質状況の把握を行って下さい。
(穀温が35℃を超えると食味が悪くなる)

3. 「保管管理日誌」について (2021年8月 CEと防災146号より抜粋)

<記録の必要性>

 「保管管理日誌」は単に記録が目的ではなく、保管米麦を適切に管理する資料として活用しなければなりません。
 平成30年6月13日に食品衛生法の一部を改正する法律が公布され、原則としてすべての食品等事業者は一般衛生管理に加えて「HACCPに沿った衛生管理」が制度化され、販売先である卸売業者・実需者などは食の安全・安心の観点からHACCPに沿った衛生管理が求められています。倉庫内外の外観・美化・清掃が重点点検項目となり、日々の管理状況を「保管管理日誌」をとおして確認することとなります。
 「保管管理日誌」は万が一倉庫保管中に事故が起こった場合、「善管注意義務」の履行を立証する資料となります。JAで定めた「自主保管マニュアル」に基づく自主保管の実践が求められ、問題が生じた場合、温湿度や穀温、衛生管理などの状況を遡って調査でき、原因究明の大事な資料となります。
 保管管理は“温湿度や穀温を測定し、記録したら終わり”ではありません。その記録に基づいて適切に管理することが重要です。

<記録の簡略化>

 最初から「これも必要、あれも必要」と、多くの記録を残そうとすると、記録に追われて作業がうまく回らないおそれがあります。その場合は、記録の簡素化から始めるとよいでしょう。
 まずは記録することになれることです。慣れるにしたがって、もう少し詳しく記録することや、不十分な点だけの記録ではなく、何がどう十分であったかを残すことも大切な記録だと言えます。
 チェック項目については、確認後まとめて記録しがちな面もありますが、記憶に頼ると間違えるおそれがあることから、面倒でも都度確実に記録することが大事です。確認した項目に異常がない場合は必ず「異常なし」と記載します。 ① 米麦の受入にあたっては、米麦の状態を確認し記録しておくことが必要です。(水分過多入庫など) ② 温湿度管理において、13℃以下、66%以下と決めた場合でも様子を見ながらどのように対応したかを記録しておく必要があります。(倉庫の入り口付近の湿度は70%と高かったが、中心部は66%だったなど) ③ 倉庫で農薬を使用した場合は、使用の都度、使用日時、薬剤名、使用場所、使用料など記録する。専門業者に委託した場合その旨記録しておく。 ④ ネズミや害虫を発見した場合は、侵入状況や発生状況、米麦への被害状況を確認し記録しておく。 ⑤ 防火訓練、電気機器・冷却器の点検・保守・修繕を実施した時は、その旨記録します。 ⑥ その他特記事項もその都度記録しましょう。 ※「保管管理日誌」には日々の記録欄とともに記録上の留意点以外にも重要な事項が掲載されているので、日々目を通して、日常の管理に活用してください。
以 上